《UCDA》一般社団法人 ユニバーサル コミュニケーション デザイン協会《UCDA》一般社団法人 ユニバーサル コミュニケーション デザイン協会
文字の大きさ大中小english

TOPUCDAとは認証・認定賛助会員UCDAを読み解く
 

<開発者座談会 ③ビットマップ版の完成まで>
送り手・作り手・受け手の立場から見やすさ・わかりやすさを追求

UCDAフォントができるまで

視覚コミュニケーションの基本的要素である文字を人間中心設計により開発し、多くの生活者に貢献する。2年にわたって独自の科学的な検証を重ねながら開発された「UCDAフォント」の開発ストーリーと背景などについて、開発にたずさわったメンバーが3回にわたって語り合います。最終回はビットマップ版の完成へいたるプロセスです。

 

 

③ビットマップ版の完成まで

ビットマップ版の完成まで
低解像度・高速プリンターで
いかに文字を見やすくするか

——前回まではUCDAフォント開発の背景とプロセス、開発にあたっての基準づくりについてお話しいただきました。最終回はUCDAフォントを導入されたトッパンフォームズの鳥越さんにも加わっていただき、どのようにビットマップ版が完成したかについてお話しいただきたいと思います。
鳥越:20年ほど前からトッパンフォームズでは可変プリント事業を開始しており、可変印刷用のフォントの開発もしてきました。フォントを導入する際は、全文字のリストをわれわれ開発スタッフが数名で1文字ずつ見ながら、「ここは線が細いから途切れるんじゃないか」「この四角いスペースの中はつぶれそうだ」とチェックし、フォントをエディットするソフトでドットを直していくんです。しかし、それはどちらかというと穴が穴として見える、線が途切れないというレベル。新しい文字を作るときも、既存の文字のへんとつくりを組み合わせるぐらいで、デザインの完成度を求めるまでは達していませんでした。低解像度なので1ドットの線は印刷の調子によっては抜けてしまい、逆に3〜4ドットの線になるとにじんだり流れたりしてつぶれてしまうので、2ドットの線にしようという具合です。機械的な制約が多く、高速で印刷することが優先されるので、ただスクエアな文字が並んでしまうことになりがちでした。とはいえ、保険の帳票や請求書に多く使われるため、数字の見間違えなどを起こさないことが重要視されますし、お客様からも「なんとか改善できないか」と、言われるようになったんです。
矢口:保険帳票の印字に使われているビットマップフォントの表現力の低さについては、UCDAアワードを審査する場でも課題になっていました。UCDAフォント開発にあたっては、劣化した状態でも読みやすい文字を作るという目標をもっていましたので、「ビットマップでも読みやすくないとUCDAフォントじゃないよね」という話は早い段階からありました。

鳥越:実は世の中にUDフォントが出回り始めて、自分たちで既存のUDフォントをベースにビットマップフォントを作ろうと試みたことがあるんです。しかし、機械的に低解像度のドット構成にした文字で約款や請求書を作ってみたけれど、全然見やすくないんですよ。商業用の高速プリンターは低解像度が中心で、ユニバーサルなデザインが生かせない。また、そうやって作ったフォントをUDと呼んでいいのかという議論が社内であったんです。低解像度で小さな字を打ったときに見やすいことが重要だが、自分たちでやるのは難しいし、それがはたしてUDであるかをどうやって評価するのかと思案していたときにUCDAさんの取り組みを知りました。これはまさにわれわれがやろうとしていることにドンピシャだなと思いました。UDで、なおかつドット構成のプリンターで打ったときに可読性にすぐれていることが証明されたデザインのフォントが作られる。これは弊社としてもどうしても採用したいということになったわけです。